七色ライラック
「…はよ」
ふわっと舞うように空気が緩んで、私のもとへと落ちる。
小さく微笑んだ彼の姿は昨日よりもずっと輝いて見えて。
低い声は数段甘く聞こえた。
これが、恋人という魔法なのだろうか。
さっきまでと同じはずの景色が彼が触れただけで鮮やかに色付いた。
「おはよう、ございます」
いつもの何倍も格好良く見える彼に、緊張して声が震える。
恥ずかしいと思いながらも視線は彼を追ったまま。
そんな私に気付いたのだろう。
小さく喉の奥を鳴らして笑った彼。
そしてスッとその長い指が私の髪を撫でた。
あぁ、本当にどうしよう。
心臓がドキドキして、頭が真っ白で。
今にも涙腺が壊れてしまいそう。