七色ライラック
「…もしかして…緊張してる?」
俯くことも出来ずただその姿を見つめ続けていた私に、彼はゆっくりとそんな問い掛けを投げ掛ける。
まるで私の緊張をほぐすような優しい声色。
コテンと傾げられた首に、私は勢い良く首をコクコクと縦に振った。
すると彼は困ったように小さく笑って。
「…俺も」
すげぇ緊張してる、と。心臓バクバクなんだけど、と。
そう言って制服の胸元を握る。
その言葉にそろそろと視線を動かせば微かに色付いている彼の耳。
その淡い色に私の顔にも熱が集まるのがわかった。
その色の意味を、彼も私と同じなんだと思っていいのだろうか。
同じように感じてくれていると、自惚れてもいいのだろうか。