七色ライラック




「なー、あそこに立ってんのってサク女だよな?」


「あぁ」


「うわー!めずらし。めっちゃお嬢様学校じゃん」




俺が一人思い出に耽っていると、ふと耳に入ってきた聞き慣れた三つの声。


声の主は上から金色短髪の真人(マヒト)・ワインレッドの短いアシンメトリーをした雪(セツ)・茶色ロン毛の直樹(ナオキ)の三人。

正真正銘、間違いなく全員俺の友人だ。


飛び交う言葉に三人の視線を追えば、そこにいたのは紛れもなく俺の心をガッツリと盗んでくれた彼女(とその友達っぽい女)で。


思わず目を見開く。


彼女が来ている制服は俺らみたいな普通の公立のものとは違って、清楚な茶色のワンピースに薄いピンクの柔らかそうな大きいリボン。


この辺りじゃ有名なお嬢様学校・私立桜庭女学園(通称サク女)のものだ。




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