七色ライラック




(帰、り…一緒…?)




いつも朝しか会うことが出来なかった。

でもそれだけで一日頑張れたし幸せだったのに。


帰りも、彼に会うことが出来るの?

一日が終わる前に、もう一度彼と会うことが出来るの?




「いいん、ですか…?」




信じられなくて、震えてしまう声で問い掛ける。


だって彼と一緒にいる時間が増えるなんて夢みたいで。

そんな幸せな思いしていいのかと不安になる。


すると彼は一瞬きょとんと目を見開いた後




「だって俺、彼氏でしょ?」




と照れたようにはにかんだ。



ドキン、ドキン



その表情に、声に。

心臓が泣き出したくなるくらい悲鳴を上げる。きゅっと痛くなる。


それなのに彼は更に私を喜ばせるんだ。




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