七色ライラック




その事実に心拍数は右肩上がり。

ドキドキする胸は痛いけど、どこかくすぐったい。




『あの、今授業が終わったんですが…』




どこに行ったらいいでしょうか…と困ったような彼女の声。


機械越しに彼女の声を聞くのは初めてだが、やっぱり可愛い。

ぎゅっと胸の奥を鷲掴みにされた気分。


お淑やかで控えめな彼女の声は無機質な機械を通しても変わらず素敵なままだった。


その声を聞きながら、今どんな顔をしているのだろうと想像するだけでときめいている俺はかなり重症だと思う。




「あー…実はさ…」




というか、もうそれ以上だと思う。




「今俺、サク女の前にいるんだ」




東吾奏芽。今再び一人で桜庭女学園の校門の前にいます。




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