七色ライラック
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「東吾さん…!」
電話が切れて数分。
そわそわとその時を待っていた俺の後ろからパタパタと聞こえてきた足音。
振り返れば、こちらに向かって走ってくる彼女の姿が見えた。
ドキンッ
朝ぶりのその姿に鼓動が反応する。
軽く片手をあげて合図すれば俺の名前を呼んでくれる彼女。
その可愛らしい響きに胸が高鳴ったのは言うまでもない。
自分の苗字も捨てたものではないと思った俺は単純なんだろうか。
「すみません!お待たせしてしまって…っ」
俺の前で立ち止まった彼女が息を乱しながら申し訳なさそうに眉を下げる。
そんな表情にもまたときめく。本当、可愛い。