七色ライラック
でも、彼女が謝ることなんて何もないのだ。
「いや、俺の方こそ勝手に来ちまって…ごめん」
そう。俺が勝手に来ただけなのだから。
もう一日中落ち着かなくて。
夢だったらどうしようと思ったりもして。
彼女が電車を降りた後、今のは何だと真人たちに問い詰められたが答えられる余裕はなかった。
だってまさか恋人があんな近い距離が許されるなんて思ってなかったんだ。
だからこそ逆に夢なんじゃないかと不安になって。
どうしようもなくて、授業が終わった瞬間ダッシュで教室を飛び出した俺。
後ろから呼び止める声とか教師の声とか聞こえてきたけど、全部無視してここに来た。
そして慌てて身だしなみを整えたのがついさっき。