七色ライラック
少し憧れてたんだ。
彼女を迎えに行くとか、こういう彼氏っぽいこと。
「早く会いてぇなー…とか思って、さ」
言いながら恥ずかしさに言葉が詰まる。
こんな言葉今まで言ったことがない。
変に思われたかと一瞬焦ったが、それはすぐに杞憂に終わった。
「っわ、私も、です!」
そう言いきって顔を上げる彼女。
俺のその言葉に顔を真っ赤にしてくれる彼女を見たら、そんな恥ずかしさなんてどうってことのないことのように感じた。
頬に唇と同じ色を浮かべて。
戸惑いながらも彼女は真っ直ぐに俺を見上げている。
こんな彼女の姿が見れるなら、歯の浮くような台詞くらいいくらでも言えるような気がした。