七色ライラック
「とりあえず…行きますか」
彼女のその表情をもっと見ていたいけれど、如何せんここは校門。
昨日みたいに見世物になるのは絶対にごめんだ。
それに、早く二人きりになりたい。
誘うようにそう言って歩き出せば、俺の一二歩後ろを歩き出した彼女。
ちらりと見れば恥ずかしそうに俯いている姿が見えた。
そんなところも彼女らしいなと思う。
でも朝の距離を知ってしまった俺には少し物足りなくて。
もう少しだけ、欲張ってもいいだろうか。
「隣、歩きませんか?」
ここ、と自分の横を指差せば一拍置いてボッと染まった彼女の頬。
そしてコクコクとその首が縦に動いたかと思うと、彼女がそっとその足を動かした。