七色ライラック
俺がそんな目眩を感じていると、横から聞こえてきた柔らかい彼女の声。
顔を向ければ彼女はどこか嬉しそうに笑っている。
そんな顔にまた動悸が早まった。
「な、何が?」
緊張していることを出来るだけ隠すようにポケットに手を突っ込んで平静を装う俺。
出来てないのは自分でもわかってる。声裏返りかけてるし。
でもそこは男のプライドってやつだろう。
好きな子の前では余裕あるふりをしたい。
少しでも格好良く見られたい。
見栄だって張りたくなる。
「迎えに、来てくれて」
そんな俺に気付いていないであろう彼女はそうさっきよりも嬉しそうに笑った。
柔らかなその笑みに頬が赤くなるのがわかる。