七色ライラック
その気持ちのまま、俺は足を止めて彼女と向き合う。
自然と彼女の足も止まって。
お互いに言葉を発することのないまま、ただ視線を重ねた。
くりっとした彼女の瞳に俺の姿が映ってる。
目が合っているだけで五月蝿いくらいにドキドキする心臓。
情けないけれど、指先は震えてる。
それでも伝えたいんだ。
こんな俺の素直な気持ち。
ぐっと強く拳を握って、不思議そうにしている彼女に向かって口を開いた。
「…美桜ちゃんと付き合えたら、ベタなこと何でもしてみたいと思ってたんだ」
例えば手を繋いで歩くとか。
例えば一日の終わりに君の声が聞けるとか。
君の声で朝を迎えるとか。
例えば毎日家まで送り届けるとか。