七色ライラック




「で、でも!みんなが怖い人だとは限らない、し…」




驚いた。

まさか彼女がそんなことを言うなんて。


おずおずと控えめに、だけど確かに彼女は言った。


"そうとは限らない"と。


他の奴らには聞こえてなかったみたいだけど、俺には確かに聞こえた彼女の言葉。


そんなことを言うサク女生珍しいと思いながらも嬉しさを感じるのは抑えられない。


今にも緩みそうになる頬を隠すだけで精一杯だ。



それなのに




「そうかもしれないけどさ。でも女慣れしてそうな人ばっかじゃん」




そんな俺の幸せな気分を打ち砕くように、彼女の隣の女がまた言葉を紡ぐ。


頭にくるけど、これもまた否定出来ない事実だから悲しい。




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