七色ライラック
実際、彼女に出会うまでの俺は世に言う最低な男だったと思う。
いろんな女と付き合ったし、体の関係ももった。
寧ろ体の関係しかなかったかもしれない。
女は飾り。もしくは消耗品。
来れば拒まないけど居なくなるのを追いはしないし、引き止めもしない。
そこに"恋"なんて感情はきっと無かった。
それは消せない事実。
でも、出来れば彼女の前でそんなこと言ってほしくなかった。
だってその捨てられない過去は、彼女を好きな今の俺を何よりも苦しめているから。
「は!やっぱサク女はお高いねぇ」
「男に相手にされない僻みかっつーの!」
先程の言葉がよほど気に入らなかったのか。
当て付けのように声を荒げはじめる真人と直樹。