七色ライラック




いつもみたいに、誰にも気付かれないよう横目に彼を見て。

一人ドキドキして。

それでもいつもみたいに何も出来ないでいた。


そんなある日。




「あ、れ?」




今日もまた朝から彼を見ることが出来て幸せな気分のまま一日を過ごした私。


お手軽な幸せだと思いながらも心は素直に踊る。


やっぱり幸せ。


そんな私は放課後になって初めて、あるはずのものがないことに気付いた。




「生徒手帳がない…?」




朝、確かにカバンの外ポケットに入れたはずの生徒手帳がどこにも見当たらない。


こんなベタなことがあるのだろうか。
まぁ、あるから私は困っているのだけど。


というかどうして今の今まで気付かなかったんだろう。

それだけ浮かれてたってこと?




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