七色ライラック




そう。彼のわけがない。

だって彼がここに来る理由なんて一つもないもん。


いや、私がそう思ってるだけであるかもしれないけど。

もしかしたら恋人とかがいて会いに来たかもしれないけど。


もしそうなら絶対に会いたくない。


そうだったら…立ち直れないもの。


そう思いながらも彼女にぐいぐいと背中を押される私は校門に向かった。



そこにいたのは




「…うそ…」




思わず自分の目を疑う。


嘘だ。こんな都合のいいことがあるはずない。


校門にいたのが、いつも見つめているだけの彼だなんて。


高い身長に整った顔。この学校ではまず見ることの無い男子用の制服。


まるでそこだけ世界と切り離されたみたいに。

別世界のようにキラキラと光っている。




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