七色ライラック




そしてそんな彼に集まっている女の子たち。


その光景にギュッと胸の奥が痛くなった。


きっとあれは"イズミ"さんたち(全員ではないと思うけど)。


躊躇いなく彼に近付けることがこんなにも羨ましい。


何だかんだ言いながらうちの生徒だって普通に男の子に興味があって。

あんな格好良い人が女の子を探してるなんていったら、例え紅南生だって近付きたくなる。




(そう、だよね…)




この学校に"イズミ"って名前の子は私一人じゃないもの。

何故か知らないけど意外といるんだ。


きっとあの中の誰かに用事があるんだよ。


そう頭で思っていても、心のどこかで淡い期待は消えなくて。


バカみたい、と小さく笑う。



その時だった。


彼が、こっちを振り返ったのは。




< 39 / 244 >

この作品をシェア

pagetop