七色ライラック
「…あっ…」
瞬間、ぶわっと一気に熱くなる頬。
こっちを向くなんて思わなかったから油断してた。
そして微かにぶつかる視線。
目が合っただけで、もうどうしていいのかわからない。
なのに、それなのに。
(こ、こっちに来てる…!?)
何故か私の方に向かってその長い足を進めている彼。
もしかして、誰か見つけたのだろうか。
私は慌てて周りを見渡し、彼の探しているであろう"ミオ"ちゃんを探す。
「…あの、」
でも、彼がその歩みを止め声をかけたのは間違いなく私だった。
目の前に立つ彼の姿に、一陣の風が吹き抜け私の時間が止まる。
(え、え…何、で…?)
まったくこの状況が理解出来ない。