七色ライラック




俺は今、サク女の無駄に立派な校門の前に立っている。


まじでうちの学校と違いすぎるんだけど。俺、めっちゃ浮いてる。


何故こんなことになったのか。


ことの始まりは、俺が朝落とし物を拾ったことだった。



今朝、いつもみたいに彼女が電車から降りるのを横目に見つめていた俺。




(今日も可愛い…)




そう思って彼女の背中を眺めていたとき、彼女のカバンの外ポケットから何かがするりと落ちるのが見えて。


俺は迷わずそれを手に取った。


拾おうとしてた知らないおっさんを睨んじまったのは許してほしい。




「…どうすっかな…これ」




その日の放課後。

俺は彼女の落とし物と数十分間の睨み合いを続けていた。


どうやら彼女が落としたのは生徒手帳だったらしい。




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