七色ライラック
あれで隠してたつもりなのかと生徒手帳で額を小突かれ、顔に熱がこもる。
そんなに俺はわかりやすかっただろうか。
絶対にバレないと思っていたのに。
「奏芽、あのこの子とばっか見てたから」
めちゃくちゃ熱の籠った目で。
そう言って俺の前の席の椅子を引っ張り出して座る雪。
その言葉にまたしても顔が熱くなった。
(まじかよ…!)
どうやら俺は思っていた以上に彼女のことが好きらしい。
隠せないくらい、片想いしてしまっているようだ。
そうなると一つの不安が頭を過る。
もしや、他の二人にも気付かれてるんじゃないかと。
友達だとはいえ、絶対に知られたくない。
そう思い慌てて雪に詰め寄った。