七色ライラック




そんなことを思いながら雪と話していると、後ろから"あの…"と控えめに声をかけられた。


声のする方へ振り向けば、そこにはさっき校門で声をかけた女子生徒。

そしてその後ろには、何故かその他に何人もの女子の群れ。


なんだ、これは。




「あの、すみません…皆さん"イズミさん"なんですけど…」




呆然とその光景を見つめれば、困ったように眉を下げて笑う先頭の子。

そこで漸く俺は自分がミスしたと言うことに気が付いた。




(フルネームで言えばよかった…!)




まさかこんなにたくさん同じ名字の奴がいるとは思わなかった俺(少なくとも紅南にはいないだろうから)。


隣に立つ雪からは"バカじゃねぇの?"と言いたげな視線を向けられた。




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