七色ライラック
その意見が正しいだけに何の反論も出来ない。
とりあえず彼女を探さなくてはと、連れてこられた"イズミさん"を片っ端から見渡す。
だけど
(いない…)
こんなに何人もいるのに、肝心の俺が探している彼女はいなくて。
残念だけど全員違う、そう言おうとしたときだった。
ふっと俺の視界の端に映った何か。
それに心臓が大きな音をたてて反応する。
(もしかして…!)
覚えのあるその感覚に慌ててそっちを見れば、遠くの方に見えたあの子の姿。
間違いなく、俺の想い人。
彼女は驚いたように目を見開いてこっちを見つめていた。
視線が重なっているような、どうしようもなく苦しい感覚。
バクバクと五月蝿く鳴り続ける心臓を必死に抑えて彼女へと歩み寄る。