七色ライラック
その一瞬、ほんの少しだけ俺の指に触れた彼女の細い指先。
トクン、
まるでそこに発生した電気がそのまま心臓を動かしたみたいに脈をうつ。
「どう、いたしまして」
カラカラに渇いた喉で何とか言葉を紡げば、またふわりと花のように笑ってくれた彼女。
細められた瞳が真っ直ぐ俺に向けられて。
(うわ…やべ…っ)
本格的に惚れていくのがわかった。
見てるだけでいいなんて、そんなの言い訳だと気付いてしまった。
だって、それだけで満足だなんて出来るわけないんだ。
俺は今目の前にいる彼女のことがもっと知りたくて。
出来るなら真っ黒で艶やかなその髪に触れたくて。
その華奢な体を抱き締めたい。
その笑顔を独り占めしたい。