七色ライラック




触れることに理由がいらない距離に行きたいと思ってる。




「俺、東吾…東吾奏芽って、言います」


「あ…和泉美桜、です」




そんな思いが心の中で渦巻いていたけど、俺の口から咄嗟に出たのは何故か自分の名前で。




(何でこのタイミング…!?)




無意識に零れてしまった言葉に引かれたかと思ったが、彼女がわざわざ頭を下げて自己紹介をしてくれたので間違っていなかったのだと安堵した。


文字を見て彼女の名前は知っていたけど、彼女の口から聞くとその名前は更に綺麗に聞こえて。

本当にイメージにぴったりだなと納得する。




「朝、同じ電車っすよね?」


「はっはい!」




勢いに任せて言葉を続ければ、顔を真っ赤にして返事をくれる彼女。




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