七色ライラック




「は、い…」




そうやって、彼女が恥ずかしそうに言うから。

頬を染めて笑うから。


俺の心拍数は右肩上がり。




(あぁ…もう…可愛すぎる)




抱き締めたい衝動を必死に抑えて、彼女に一度軽く頭を下げてからその場を後にする。


ちらりと視線だけ振り返れば、真っ赤な顔をした彼女の姿が見えて。

その姿にどうしようもなく舞い上がる俺がいた。

帰り道に見ず知らずの爺さんを助けるくらい舞い上がってた。


だって赤くなるってことは、少なからず意識してくれてるってことだろ?

ただ単純に男を目の前にして緊張してただけかもしれないけど。


それでも、少しくらい




(自惚れても、いいですか?)




明日会ったら絶対に挨拶しようと心に決めた火曜日の放課後。




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