七色ライラック
(うそ…嘘。も、貰ってくれた…!)
その事実にぐんと上昇する体温。
どうしよう。嬉しすぎる。
もう一週間分くらいの幸せを一気に使ってしまったんじゃないかと思うくらい。
昨日の朝まで横顔ばかりだった彼がこんなにも近くにいて。
クッキーまで受け取ってくれて。
もしかして本当にこれは夢?
あぁもう夢でも何でもいい。とにかく幸せすぎる。
ありったけの勇気を出してよかったと、普段なかなか一歩を踏み出せない自分を今日だけは褒めてあげたいと思った。
恋って偉大だ。
「…あーっと…和泉、さん?」
そんな完全に自分の世界に入ってしまっていた私の耳に届いた自分の名前。
それを口にしたのは間違いなく目の前の彼で。