七色ライラック




それだけでもこんなにドキドキしているというのに、彼はそのまま私に向かって口を開いた。




「いつもこんな早い時間の電車っすよね?何か、理由とかあったり、する?」


「あ、はい。学校で、予習とか…してて…家だと兄に邪魔されるので」




なんて、建前だけど。

一番の理由は貴方と同じ電車に乗りたいからです、なんて絶対言えない。


ただでさえ彼と会話してるというこの状況だけで今にも倒れそうなのに。


私はちゃんと会話できてる?

変なこと言ったりしてない?


不安とドキドキが混ざって、もう何が何だかわからない。

全神経が目の前の彼に集中している。


鞄を握り締めている手のひらには尋常じゃないくらいの汗が滲んでいた。




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