七色ライラック
進展を期待していなかったと言ったら、嘘になる。
いや、寧ろかなり期待していた。
あと一歩近付けるんじゃないかと期待していたんだ。
一日の授業がすべて終わった放課後。
学校の屋上で、俺は一人貰ったクッキーの袋を眺めながら幸せに浸っていた。
頭の中は今朝の出来事だけが占めている。
屋上は溜まり場になることを懸念してか立ち入り禁止になっているため誰かが来ることはない。
だから気兼ねなく表情を崩せるわけで(何で俺が屋上に入れるのかは企業秘密)。
今、俺は感情を隠せない自信がある。
(あー…やべぇ。嬉しすぎる)
嬉しすぎて、このまま死ねるんじゃないだろうか。いわゆるキュン死にってやつ。
それくらい今も全身がドキドキしてる。