七色ライラック
「お前顔に出すぎ。二人が若干気味悪がってた」
「え、まじて?」
ハァ、と溜め息を吐いて遠くを見ながら頷く雪。
二人っていうのはもちろん真人と直樹のことだろう。
その言葉に気を付けた方がいいというニュアンスを感じて表情を引き締める。
それにしても、ポーカーフェイスを通せているつもりだったのにそうではなかったのか。
その事実に何となく落ち込みながら雪と同じように空を見上げる。
雪もやっぱりあの二人にバレるのは面倒だと思っているようだ。
だから彼女のことを話さないんだろうか。
(そういえば…)
そしてふと思い出した疑問。
「なー」
「…なに」
「雪の彼女ってどんな奴?」
それはこの間から単純に気になっていたことだった。