七色ライラック




空を見上げながら俺たちの間に流れる無言の時間。

だけどそれが気まずいとは全く思わない。

それが俺と雪の関係のような気がする。




(初めて、口にしたな)




普段なら恥ずかしくて絶対言葉に出来ないであろう感情を口にしたのは、今日の出来事が嬉しかったせいか。

それとも空がいつもより青く澄んでいるからなのか。


どちらにせよ今日の俺は随分口が軽いらしい。




「…和泉美桜。建築会社の娘で兄が一人。桜庭女学園2年C組。成績優秀で家庭科部所属。おっとりした性格は生徒だけでなく教師にも評判」




そんな静かな雰囲気を壊したのは、二人しかいない屋上に響いた雪の声で。


しかもその内容は俺が求めて止まないあの子のこと。




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