七色ライラック
その日は朝から非日常的だった。
「きゃぁぁあ!!ね、寝坊したー!!」
ベッドの脇にある目覚まし時計を見た瞬間、一気に覚醒した頭。
文字通り布団から飛び起きた私は、バタバタと二階の部屋から駆け降りてリビングのドアを開ける。
リビングに入ればお母さんとお父さん、それにおじいちゃんが既に優雅に朝食をとっていた。
テーブルの上には綺麗にセットされている美味しそうな和食。
お兄ちゃんの分がないのを見ると、もう大学に行ったみたい。
「あら美桜。今日は遅かったわねぇ」
にっこりとした笑顔でゆったりと喋るお母さんにコクリと頷く。
今まで一度だって寝坊なんてしたことなかったのに、今日はいつもより30分も寝過ごしてしまった私。