七色ライラック
お母さんに何で起こしてくれなかったの、なんて文句は言えない。
昨日の出来事が嬉しくてなかなか寝付けず、夜遅くなってしまったのが原因だと思うから。
完全に自業自得だもの。文句なんて言えない。
どうしようもなく舞い上がっていたのだ。
頭から離れない彼の声や笑った顔。
そして交わした小さな約束。
"また明日"
その言葉が一日中私の心を支配していた。
明日になればまた会える。
それだけで授業中も帰ってきてからも私はずっと上の空。
だけど
(だからってあの電車に乗れなかったら意味ないのにっ!)
そう。どんなに彼のことを思っていたって、乗り過ごしてしまったら意味がない。
あの電車は私たちを繋ぐ唯一のものなのだ。