七色ライラック




昨日振り絞った勇気を絶対に無駄にしたくなくて。

何がなんでも間に合わせなくちゃと思いが焦る。


いつもならしっかり食べている朝食も、今日は食べている暇がない。




「行ってきます!」




制服のリボンを結びながら慌てて家を飛び出す。

後ろから"ちゃんと朝御飯を食べていきなさい!"と叫んでいるお父さんの声が聞こえたけれど今は聞こえないふりだ。


だって、一秒だって遅れるわけにはいかないのだから。




「あらあら。美桜もついに恋しちゃったのかしら」


「…ブフッ!なっ何だと!?俺はそんなの許さんぞ!」


「ハッハッハッ!青春じゃのう」




バタバタと急いで飛び出したあとのリビングでまさかそんな会話がされていたなんて、私は知る由もない。




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