七色ライラック
────────────
───────
───…
「ハァ、ハァ…間に合っ、た」
駆け込んだ電車は何とかいつもと同じ時間。
(よかったぁ…)
乗り込んだ瞬間、プシューッと音をたててドアが閉まる。
同時にハァと深い溜め息が口から漏れた。
だけど間に合ったことに安心したのも束の間。
ドアのガラスに映る自分の姿に驚いた。
(か、髪がボサボサ…!)
なりふり構わず走ってきたせいか、長く伸びた黒髪はあちこちに飛んでしまっていて。
櫛でとかしたのかも怪しく見える。
さながらお化けのようになってしまっていた(お岩さん、だっけ?)。
これは酷い。寝起きと同じくらい酷いと思う。
こんな姿彼に見られるのは是が非でも避けたい。