七色ライラック




好きな人にみっともない姿見られたい女の子なんていないもの。


自分の姿に恥ずかしくなりながら何とか髪を整える。

これでまともになってくれればいいのだけど。


懸命に手で髪を直している途中、ポケットで小さく振動した携帯電話。


見れば亜実ちゃんから今日も学校を休むというメールが届いていた。

二日も連続で休むなんて珍しい。
風邪を拗らせてしまったんだろうか。


帰りにお見舞いに行ってみよう。


そう思ったとき、ハッとあることに気付いた。


亜実ちゃんが来ないということは、今日も私はこの電車に一人というわけで。

もしかしたら、彼も一人かもしれなくて。




(き、緊張してきた…!)




途端にバクバクと大きく音を鳴らす心臓。




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