吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)


「一本目で苦しむことはないわ」


女がそれとなく理由を説明してくれた気がした。


シータは毎日かなりの量の血を採られて、あんなに虚弱化していったのではないだろうか?


「まさか意識を失っている間に、二人でコンタクトをとってるなんて思いもよらなかったわ」


と言ったあとで、女は堪えきれずに笑う。


二人でコンタクト……ということは舞台で会っていたことをシータが自ら話してしまったことになる。


イオタは遠ざかる足音が聞こえてこなかったことから、シータがまだ傍にいると感じていた。

< 157 / 398 >

この作品をシェア

pagetop