吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
「厄介なのは、ぼくらを殺すには胴体から首を切断するか、灰になるまで焼くか、心臓に杭を打たないと殺せないというのが、吸血鬼の概念と一致させてしまっているんだね。あれ?おかしいな。吸血鬼のこともそうだけど、読んだ記憶のない本の知識があるのはどういうことなんだろう?」
イオタは腕を組んで首を捻る。
「きっとイオタ君はぼくの血を飲んだことで、ぼくの知識を吸収したんじゃないかな」
「そういうことか」
自分自身の努力で培った知識じゃないものがシータの知識で補っていたことが判明し、疑問が晴れてもイオタの顔は曇る。
「ぼくにはない能力だよ」