吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
「シータに謝らないといけないね」イオタは笑いながら低姿勢な言葉で謝った。「ぼくの食事は君の血液だったんだね。ありがとう」
「そ、そうだよ」
改めて言われたお礼は明らかに口先だけのような気がして、シータは舞台へ招かれた目的が歓迎の“か”の字もないことを悟った。
「ぼくのためにあんなに苦しい思いをしていたんだね」
言葉とは裏腹にイオタの表情は険しくなる。
「立場が逆になってしまって……ごめん」
シータは俯きながら謝る。