吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
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目を開けたとき、愕然とした。
試験管の血を飲んだ場所の鬱蒼とした森の中ではなく、高層ビルが建ち並ぶ交差点でうつぶせにイオタは倒れていた。
頬がやけに冷たく、腕立て伏せの状態で上半身を持ち上げると水に浸かっていた。
分厚い灰色の雲からシトシト雨が落ち、夜なのに光量が満ちている。
唯一といっていい雲の割れ目から満月がぽっかり顔を出していた。
水たまりに映っている顔は泥だらけだったが、明らかにシータ。