天神学園の奇怪な面々Ⅴ
殺傷したい訳でも、生徒指導に逆らいたい訳でもない。

ただ、仲間を守りたいだけ。

疾風の言い分は理解できる。

しかし。

「一人特別を許せば、全てに特例を許す事になる…天才のお前ならばそれもわかろう」

チャイナドレスの貫かれた部分を自ら引きちぎり、龍娘は自由を取り戻した。

「心情的には、そこまで仲間を大切にするお前達を許してやりたいのも事実…だがこれが私達に与えられた仕事だ。悪く思うな」

「…だろうね。そう言うと思った」

それ以上言葉はない。

対峙する疾風と龍娘。

まるで西部劇の1シーンを見ているようだった。

刹那の時を経て。

「いくぜ!」

「っ!」

早撃ちするガンマンの如く。

疾風が、龍娘が、弾かれたように動き出す!

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