天神学園の奇怪な面々Ⅴ
「……」

チラリと、舞白は手にした懐中時計に視線を落とす。

「随分時間を浪費していらっしゃいます…これ以上の肉体の酷使はオススメしませんが…」

「この私を前に…」

舞白の言葉に耳を貸さず。

「余所見とはいい度胸だ!」

龍娘は突進した!

細身の舞白など捕縛するのは容易い。

素早く距離を詰め、彼女の肩を掴もうとして。

「っ!」

その手をすり抜け、舞白は龍娘の背後に回り込んだ。

…いや…回り込んだと言っていいものか…。

舞白の肩を掴んだと思った瞬間、まるで彼女の体を手が素通りしたような感覚を覚えた。

一番近いのは、霊体と化したチャーリーに攻撃を加えた時だろうか。

攻撃が手応えなく突き抜けるような…舞白に対してもそんな感覚を覚えた。

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