天神学園の奇怪な面々Ⅴ
葉月が制服のポケットから取り出したのは、意外にも天神学園の生徒手帳だった。

その校則に関する記載の項目を広げる。

いわゆる不良、札付きの彼には、最も無縁の項目に思える。

「天神学園校則第48条補足…『校則違反を犯して生徒指導に捕縛された生徒は、その日の内に生徒指導から逃れ、学園敷地外に逃れられた場合のみ、その違反を帳消しにする事が出来る』…こいつは本当か?」

「え?」

「何その校則」

雲雀が、リーニアが声を上げる。

そのような校則があるとは知らなかった。

大抵の生徒は、校則の項目になど目を通してはいないだろう。

知らないのも無理はない。

「無論だ」

龍娘は頷く。

「私が生徒指導に就任した時に、戯れに学園長に申請し、追加された校則だ。尤も…」

彼女は薄く笑う。

「いまだかつて私から逃れ、その校則の恩恵に与った者はいなかったがな」

< 166 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop