天神学園の奇怪な面々Ⅴ
ユラリと。

龍娘が前に出た。

動きは極めて緩やか。

これまでのような高速の鋭い動きではない。

まるで散歩に行くかのような軽やかな足取り。

「……」

無言のまま、葉月は拳を固める。

相手がどう動こうが油断はしない。

隙を見せて見逃してくれるほど、龍娘は甘い相手ではないと知っている。

彼女はゆっくりと葉月に歩み寄り。

「!!」

パァン!と。

音高く葉月の頬を打った。

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