天神学園の奇怪な面々Ⅴ
ドンッ!という轟音が二回重なって聞こえた。

一つは龍娘が床を踏み砕く音。

もう一つは可畏の腹に猛虎硬爬山が直撃した音。

可畏の華奢な体が吹き飛ばされたものの、生徒指導室はそれ程広くない。

勢いを殺せぬままに強烈にコンクリートの壁に叩きつけられ、そのまま今度は床に叩きつけられる。

並の人間ならば全身打撲で死亡確定だろう。

可畏ならば神なのだから、気絶程度で済む。

そう踏んでの攻撃だったが。

「……もう勘弁してくれんか」

龍娘は辟易した様子で言う。

「何言ってるのよ…」

猛虎硬爬山をまともに受けても、大して効いていないような素振り。

可畏はピンシャンした様子で立ち上がる。

「私にも殴らせなさいよ。先生の整った鼻筋がグジャグジャになるとこ、見たいわぁ…♪」

< 36 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop