天神学園の奇怪な面々Ⅴ
龍娘はそんな雲雀の悪戯を何度も生徒指導の立場として注意してきた。

まんまと雲雀に翻弄された事もあるし、辛うじて尻尾を掴んで正体を見破った事もある。

両者は言うなれば、ルパンⅢ世と銭形警部のような関係なのだ。

「相変わらず肩掛け鞄を持ち歩いているんだな…その中に変装グッズ一式が入っているのか?」

「ま、ね♪」

龍娘の問いかけに雲雀は頷く。

その表情は大胆にして不敵。

完璧超人といわれる鬼の生徒指導を前にしても恐れていないようにすら見える。

「逃げたのに、一条を救う為にわざわざ戻ってきたのか?」

「当然よ」

雲雀は長い金髪を翻した。

「りっちゃんは、ぽやんとしてるけど可愛い後輩だもの。ほっとけないでしょ?」

「面倒見のいい事だ」

雲雀のそういう所には感心しつつも。

「だからと言って指導を邪魔した罪は見逃してやれんがな」

龍娘は構えを取った。

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