天神学園の奇怪な面々Ⅴ
距離を置き、素早く体勢を立て直す龍娘。

その頃には、既に雲雀は逃走し始めていた。

「ちっ!」

腰を抜かしている生徒会役員を置き去りに、龍娘は再び追跡を始める。

厄介な相手だ。

雲雀の変装は完成度が高すぎる。

言葉遣いや物腰まで、完全にコピーしてしまうとは。

わざと尻尾を晒してスリルを味わうという雲雀の気紛れがなければ、本人と並べても見分けがつかないほどの高度な変装だ。

ましてやその変装のまま接近されては、不意打ちされるまで気づく事ができなかった。

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