天神学園の奇怪な面々Ⅴ
「あぁあっ!もうっ!」

床を叩く雲雀。

先程まで変装術で龍娘を翻弄して優位に立っていたというのに、今度は押される一方だ。

「私こういう展開大嫌いなのにっ!」

苛立って立ち上がる雲雀。

「作戦を誤ったな」

龍娘は余裕の表情で雲雀を見る。

「円香、お前の持ち味は変装による攪乱だろう。確かにお前の変装術には、私も翻弄されるばかりだった。だが…」

「だが何よ!」

相当頭にきているのか、雲雀が噛み付くように言う。

「お前はそれまでの行動で私をすっかり翻弄したと判断したのか、格闘による正攻法に切り替えてしまった。変装ではなく、私の得意な格闘戦にな」

龍娘は構える。

「『これ』は私の土俵だ」

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