天神学園の奇怪な面々Ⅴ
まるで忍び足のように。

足音を立てずに歩く龍娘。

静寂に包まれた図書室。

だが龍娘には分かるのだ。

…誰かいる。

恐らくは龍娘の指導から逃れた生徒のうちの誰か。

その誰かが息を殺し、ここに潜んでいる筈だ。

本棚が立ち並ぶ区画を、油断なく隅々まで視線を走らせる龍娘。

図書室は意外と死角が多い。

潜む事も、奇襲する事もできる。

誘い込まれた方としては、これ程やりづらい場所もなかった。

(どこだ…?…どこから仕掛けてくる…?)

神経を研ぎ澄ませ、前後左右の気配を探る龍娘。

その頭上…本棚の上から!

「!!」

鋭い爪を構えて、一人の女生徒が飛び降りてきた!

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