天神学園の奇怪な面々Ⅴ
「衝動?」

龍娘の問いかけに。

「先生の白いうなじに歯を立てたい…プツリと皮膚を食い破る感触を味わいたい…芳醇なワインのように傷口から溢れ出る血液を啜りたい…濃厚な血を舌の上で転がして香りと味を堪能した後でゆっくりと飲み干したい…」

リーニアは淀みなく滑らかな口調で、自分の狂気の願望を口にした。

いや、狂気というのは人間の偏見かもしれない。

「お前…吸血鬼か…」

「あら…」

リーニアは龍娘の顔を見る。

「私は人間ですよ?ただ、遠い遠い私の祖先に、そう呼ばれた方がいたというだけ…だから、ほら…」

リーニアは窓から差し込む強い日差しに、己の白い白い肌を晒す。

「太陽の光を浴びても何ともないし、十字架だって平気。血を吸わないと死んでしまうって訳でもないんです」

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