天神学園の奇怪な面々Ⅴ
龍娘は難しい顔をする。

「ならば何故血を吸いたいなどと…」

「ですから、衝動ですよ」

リーニアは言う。

「栄養補給とかそういうのじゃなくて、ただの『血を吸ってみたい』という衝動…素敵な男の子と仲良くなりたい、手を繋ぎたいというのと、何ら変わりない衝動です」

成程、そう言われると合点がいくようにも感じるが。

「どちらにせよ」

龍娘は構える。

「武道はしていても、痛いのが好きな訳じゃない。うなじに噛み付かれるなど御免蒙る」

「そんな意地悪言わないで…」

突如、リーニアの背中まで伸びた漆黒の髪がザワッと逆立った。

黒に近い紫の瞳が、その色を変貌させていく…。

「少しだけ味わわせて下さいな…」

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