天神学園の奇怪な面々Ⅴ
「放せと言っている!」

肩越しにリーニアの額をペシッ!と叩く龍娘。

「あうっ」

その衝撃で、リーニアは思わず口を離す。

「全く…む、うなじに歯形がついているではないか!」

自分のうなじに触れながら、龍娘が文句を言った。

「あらぁ?変ねぇ…映画の吸血鬼が血を吸うと、痛みなんて感じなくて、もっとこう、陶酔した表情になるんだけど…」

顎に人差し指を当て、うーん、と考え込むリーニア。

「何が陶酔だ!痛いだけだぞ、全く」

腕を組んで龍娘が口を尖らせる。

「そんな筈ないのに…ねぇ先生」

ズイッと、リーニアが龍娘に歩み寄った。

「もう一口噛ませて下さいな?今度は上手く吸いますから」

「断る!何がもう一口だ!私は食べ物ではないぞ!」

< 95 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop